晩酌と相撲好きのブログ

毎日ビール2本程度の晩酌とおいしいつまみ、そして大好きな相撲を愛しているアラフォー妻子あり男の心の内です。たまに本業の教育分野に関することもつぶやいたり。暇つぶしに見てやってください

元学習塾教室長が語る 塾の合格実績ってなんなん

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以前、塾に教室長として勤めていました。

学習塾については普通の人よりもちょっと詳しいので
その経験を活かし
今日は語らせていただきます。


さて

 

皆さんもご覧になったことがあると思いますが
塾の広告には大体「合格実績」が掲載されます。

 

その塾から何名がどこの学校に合格したのか?
各社やっきになって数値を求めたがります。

 

私が勤めていた塾も例外ではなく
県のトップ高校に何名合格者を出したのか
に異常なほどこだわります。

トップ高校への合格者の輩出がナンバーワン
ということだけが心のよりどころ

になっていると言っても過言ではありません。


今回は古巣の学習塾の合格実績を見たことをきっかけに
世の学習塾の合格実績の意味を考えていきたいと思います。

学習塾選びの参考にもなるかもと思いますのでよろしければご覧ください。

 

 

目次

 

 

ライバルの塾がしょぼい


古巣の地域はライバルがショボいです。ライバルは事実上、1社しかありません。それも毎年かなりの差をつけて古巣が勝っています。
また、そのライバル社は古巣よりもかなり緩めに「塾生である基準」を定めています。ライバル社で「塾生」でも古巣では「塾外生」と判断される生徒も何十人単位でいると思います。
(でなければ毎年トップ高校の生徒のうち半分が古巣かライバル社に通っていた計算になり、それは考えにくい)
正直、普通にやっていればライバルよりもトップ高校への合格者輩出数を上回れます

 

分母を絶対に明かさない


世の中の塾はこれ見よがしに合格者数をアピールしてきます。
しかし
その分母は決して明かしません。
「〇〇高校に100名合格しました!」などと宣伝しても
「その代わり50名が落ちました」
とは絶対に言いません

分母、すなわち受験者数が分からなければ

そもそもその数値の有用性が判断できません。


私も電話で何度か問合せを受けましたが、

賢い人は分母を聞いてきます。当然のことだと思います。

ただ、分母を素直に教えてくれる塾はないでしょう。


そもそも、塾生の人数自体がシークレットであり

それにより経営規模を一発で把握できてしまいます。
なので言いたくても言えないというのが塾の実情だと思います。

 

要は塾生のうち何パーセントが合格したのか
合格者数よりもこの『合格率』の方が重要なのです。

 

もっと大切な基準


合格率の方が合格数よりも大切なのは

考えればお分かりかと思いますが


塾の実力を測るのにもっと大切な数値があります。
それが
入塾してから何点上がったのか
です。

塾の広告ではよく見ますよね。
「〇〇点アップしました!」みたいな文言。

塾生の顔写真なんかも載ったりします。

 

しかし
これは上がった事例を抽出しているに過ぎません。

 

点数が上がった生徒もいれば下がった生徒もいる。
それらをすべて公表しないことには塾の指導力は分かりません

ただ
通っている全塾生について点数の推移を公表している塾は

私の知る限り日本に一つしかありません。

 

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大手塾の実情


大胆に断言しますが
世の大手塾では入塾後、成績が上がらない事例の方が多いです。

正確に言えば、
「塾の指導のおかげで成績が上がった」事例が少ないのです。
少ないというのは抽象的な言い方になってしまうので
具体的数値で言うと(あくまで私の体感ですが)
全塾生のうち塾の指導のおかげで成績が上がり続け、

結果第一志望校に合格した生徒の比率
50%以下
と考えます。控えめに半分以下と言いましたが実際はもっと低いと思います

 

そう考える理由は
1、大手塾は塾生数が多い
2、優秀な生徒はどの塾でも成績が上がる

の二つです。
細かく見ていきます。

1、大手塾は塾生数が多いについて
大手塾と言っても二つの指導形態があります。
・集団指導

・個別指導
です。

私の古巣の塾は上記どちらの指導形態もありました。
一般的には個別指導の講師よりも集団指導の講師の方が指導力が高いです。
もはや「次元が違う」くらいの差があります

 

集団指導部門はその塾の社員とアルバイトが

混合して授業を担当します


個別指導部門はほぼ100%アルバイト(社会人アルバイト含む)

が授業を担当

します。

個別指導の授業を担当する専門の社員がいる大手塾は日本に存在しないでしょう。
(利益率の低い業態のため)


以上より

個別指導は論外と言えます。

 

また、集団指導にも難があり、
それは講師たちに
1人が抱える人数が多いので指導がいき渡らない
他責志向(成績上がらないのは塾生本人のせいと考える)
の傾向があるためです。

 

2、優秀な生徒はどの塾でも成績が上がるについては
一見、成績が上がっているように見えてもそれはその塾生個人の力
ということが非常に多い
だからこういった塾生は数から省きます。


そういった塾生は

どの塾に行ったって、

いや、塾に行かなくたって

成績を上げ合格できる力を持つ子供。


トップ高校に合格する塾生はこのタイプが非常に多くいます

 

こういった生徒を成績アップの事例として

紹介してもいいものなのでしょうか…。

 

大手塾の成績アップ事例の8割はこのタイプの生徒のものだと思っていただいてもよいかと思います

 

結論を言うと
Ⅰもともと実力のある塾生
Ⅱ現時点で実力はないが不断の努力が可能な塾生
は成績が上がり

Ⅲ実力ありなし関わらず不断の努力ができない塾生
は成績が上がらないor下がる

ということができます。

塾の功績は
「Ⅱ現時点で実力はないが不断の努力が可能な塾生」
に限定すべきと考えます

 

 

 

不断の努力をさせるのが困難である

 

毎日欠かさず、
例え盆暮れ正月・GW・SWであっても例外なく一日のノルマをこなす。

この不断の努力ができない子供にできるようにさせるのが一番難しい。

 

この不断の努力さえできれば
まず成績アップしないということは起こらない。

 

でも

この指導が困難なのです。

逆に言えば
この不断の努力がなければ成績がアップすることはありません。

 

受験勉強はインプットです。
物事を覚えるにはそれなりの学習頻度が必要です。
高い学習頻度は「普段からの不断の努力」により生み出されます。


世の中の塾は
この「不断の努力をさせる」指導が苦手です。


私は塾業界を離れていま、
改めて思いますが

この不断の努力ができない子供に
不断の努力の大切さを説き実行に移させ続けることは
不可能なのではないかと思います。

 

これはもはや塾の指導というよりは
マインド(精神)の領域だと思うからです。
医学的なアプローチが必要だと感じます


子供本人が不断の努力を選択する、
それ以外にないと思います。
外部からの働きかけでどうにかなるようなものではありません


逆を言えば
この「不断の努力ができない子供をできるようにさせられる」
という塾があれば間違いなく日本一の塾と言えます。


それほど人を変えるというのは難しい。

ここをクリアせずにどうして

「うちの塾生成績アップしたぜ~」「〇〇高校に何名入ったぜー」
などと言えるのでしょうか?

 

大手塾とはもともと優秀な生徒を集める組織である


大手塾は、いかにもともと優秀な生徒を集めるかで合格実績が決まります


〇〇高校に入ると言えばこの塾!
と地域に認識してもらうのです。

 

決して
「実力のない生徒を育て上げる」
という発想ではない

のです。

 

事実、古巣の塾では実力ごとにクラス分けされ
最低のクラスの最低周辺の生徒からは

トップ高校に合格した事例はありません

(見落としで奇跡があったらごめん。古巣よ。でも奇跡だからそれ。)。

 

 

今年の合格者数はどうだったのか


さて
今年の古巣の秋田高校の合格者数は
80名
でした。

毎年大体100名前後でしたので
大幅減です。


ライバル塾は数を伸ばし
60名でした。

 

ライバル塾とは毎年30名以上の差がついていたので
だいぶ追いつかれていますね。


こうなってくるともはや古巣は地域にとって
「秋田高校と言えばこの塾!」
という認識ではなくなってくるでしょう。

 

ライバル社にも優秀な子どもが流れていくと思います。

ますます厳しい状況に陥るでしょう。

 

でも大学受験は調子よさそうなんだよなー。
まあこれもライバルがテキトーすぎるというのが理由だと思うけど…

 

 

どんな塾を選べばよい?

 

ざっくりですが、これを基本とお考え下さい。

・実力があり不断の努力が可能なお子さん→合格者の多い塾
・実力がなく不断の努力が可能なお子さん→合格者の多い塾or個人塾で評判のよいところ
・実力があり不断の努力ができないお子さん→個人塾で評判のよいところ
・実力がなく不断の努力ができないお子さん→個人塾で評判のよいところor勉強ではなく得意なことに特化して学ぶ

 

 

以上、最後はざっくり過ぎて申し訳ありません。


この塾の選ぶ基準についてはまた別に詳しく書きたいと思います。

 

 

長い文字数
お読みいただきありがとうございました!