晩酌と相撲好きのブログ

毎日ビール2本程度の晩酌とおいしいつまみ、そして大好きな相撲を愛しているアラフォー妻子あり男の心の内です。たまに本業の教育分野に関することもつぶやいたり。暇つぶしに見てやってください

木本兄さん

本日の終わりにこの記事を執筆している。
先ほど、風呂でシャワーを浴びているときに、なぜなのかしら?ふと思い浮かんだワードが「木本兄さん」だった。

 

思い付きで恐縮だが、今回はその「木本兄さん」の話をしたいと思う。
興味津々だろう?ではどうぞ。

 


高3の春。剣道部に所属していた私は「今年はどんな新入部員が入ってくるのだろう?」と少しばかりワクワクしながら最上級生としての生活を送っていた。


我が剣道部は、我々3年が5人、2年が2人と小さい所帯だった。2年からしたら「1年が入ってこねーと後輩がいなくなるじゃねーか」という焦りを抱いていたように思うが、
よく考えたらあまり先輩への態度とは思えぬほどフランクな2人だったから関係なかった。


特に2年の新谷はよく「晩酌先輩、シュートが全然なってないっすよ」などとズケズケと1学年上の私をディスったりしていた。
剣道部だが、練習前の遊びのバスケの方が一所懸命だったのはあまり感心できることではなかったが…。


この高3の春より、剣道部の顧問が変わった。今までは素人顧問だったのが、今度はバリバリの6段。インターハイ優勝経験のある本格派だ。いやだー。
30代半ばの顧問はやはり、厳しかった。


キャプテンの修造はのちに、顧問の突きをくらい壁の角に頭部を強く打ち付け出血、救急搬送されるハメになる。無事だった。頭を数針縫っただけだった(無事か?)

 

はっきり言って、新入部員が来るかどうかへの興味がなくなるくらい、練習が厳しかった。1年が入ってくるかどうかなどどうでもいいのだ。

 

しかし、1年は2名入ってきた。鈴木と木本。どちらも剣道経験者だという。
早速二人は防具をつけて私たちの練習に加わった。有望株ではない1年がいきなり防具をつけて先輩と剣を直接交えるなど、大所帯の強豪校ではないことだろう。
新入部員がいきなり活躍できるのは、少人数の部活あるあるだ。

 

剣道は掛け声を出す。いや、皆さんご存じだとは思う。しかし、その掛け声が十人十色だということはあまり知られていない。


オーソドックスな掛け声は「やーっ!」だ。
次に一般的なのが裏声の「やーっ!」。高校生になると、途端に裏声を使いたがる奴が増える。「通」っぽいからだ。これは剣道経験者にしか分からない感覚だろう。


あとは、個性に合わせて千差万別七変化だ。

「うおーい」

「いよぉーっ!」

などオリジナリティあふれる発生のほかに


「わーっ!」

「でいっ!」

などの発音分かる派や、

 

「でーす!」

などの革マル派

 

裏声の「ふぇーーーーす!!」

というファイナルフラッシュが炸裂する場合もある。

 

そんな中、練習している部員の中でひときわ異彩をはなつ掛け声を発する者が一名いた。
1年の木本だった。


高校1年にしては野太い声、というか、男前の大人の声だった。首から上は男前ではなかったが(お前が言うな)…。
木本はオーソドックスな「やーっ」派だった。面をつけると顔面が覆い隠されるため、その掛け声を発する木本は男前そのものだった。

 

しかし、私は何か心に引っかかるものを感じていた。
何だっけ?

クソ厳しい練習の最中だったが、思い出してしまった!

そう。

ガロードだ!
ガンダムXガロード・ランの声だ!!

木本の声は高木渉さんの声だったのだ!!

 

その日の練習終了後、部員を集めて木本の声について話し合った(くだらね…)。
私は
「木本の声はガロード・ランの声だ。だから、木本はガロード・ランだ。
さらに、ガロードの声は声優の高木渉さんがあてている。

したがって、木本は高木さんだ。高木さんは年上だ。
だから、木本は年上となる(?)。

これから木本は木本ではなく、木本『兄さんだ』!!!」

 

こう宣言した。

部員たちは納得した(アホ)。

 

それ以来、私たちは木本のことを木本兄さんと呼び始めた。不思議なもので、「兄さん」づけで呼んでいると、本当に年上に見えてくる(老けてたから…)。
「木本兄さん、あれ取って」「はい」 
「木本兄さん、『ティファ!』って言ってー」「・・・(無言。絶対に『ティファ』って言わなかった)」


などと、"兄さん呼び"と"相手に対する敬意のアンバランスさ"の残る会話が、我々3年の引退まで続いた。新谷たち2年がその後、木本兄さん呼びを引き継いだかは不明だ。
願わくば続いていたことと思いたい。

 

もう一人の一年、鈴木はと言えば、
キューティーハニーの全身人形(お菓子のおまけ)の頭部を取り外し、
キューティーハニーの小脇に抱えさせ(バイクのヘルメットみたいに)一人で爆笑して、こちらにその笑いを押し付けてきたりした。

 

いくら高校1年とは言え、もう少々高度な笑いを提供していただきたい。その他、話の内容や剣道の質がおおむね大雑把なイメージがあり、
私は鈴木を「アバウトな鈴木」と命名した。この呼び名も我々の引退まで続いた(続いたんかい)。
この呼び名はすぐに終焉を迎えたことだろう。言いづらいだろうから。


あれから25年。あの時の後輩たちは今、何をしていることやら。
正直鈴木には全く会いたいと思わないが(アバウトだから)、木本兄さんには会いたいと思っている。
木本兄さんよ、これを見ていたら連絡をくれ!!
俺、木本兄さんの下の名前も分かんねーけど!


実は結構恨まれていたりして…。
人に安易にあだ名をつけるのはやめましょう。

おしまい。 

 

 

 

MG 1/100 GX-9900 ガンダムX (機動新世紀ガンダムX)