晩酌と相撲好きのブログ

毎日ビール2本程度の晩酌とおいしいつまみ、そして大好きな相撲を愛しているアラフォー妻子あり男の心の内です。たまに本業の教育分野に関することもつぶやいたり。暇つぶしに見てやってください

入試応援という謎のシステム

 

前職の塾時代、入試の日にスタッフたちが各学校に散らばって
受験しに来る生徒たちに向かって激励の言葉を投げかけるというよくわからん行事があった。

 

何がよくわからんかというと
受験生が入試当日朝に塾の先生に会ったところでどんな効果があるのか?という点だ。

塾は昼から深夜にかけての仕事で、一般的な勤務時間よりちょっとヤクザな(遅めな)商売だ。

正直、塾スタッフの立場で言えば入試応援のために早朝から受験校に出向くのはかなりの負担だ。当然その分の早出残業代も出ない。

もっと細かい話をすれば、受験する高校や大学側からすれば塾関係者は完全なる部外者だ。
これが学校の先生となれば話は別だ。学校の先生はれっきとした「引率者」としての身分が保証され、受験校の中に物理的に進入することができる。塾スタッフが学校に進入しようものならば即御用だ。

だから、塾スタッフは入試応援の際に校門の前という治外法権下の領域に鎮座することになる。これがまたキビシイ。なにがキビシイかというと、屋外だからだ。秋田市の冬は厳しい。風がハンパないからだ。吹き付ける雪に凍る体。コートの下に幾重にも重ね着した服たちも役に立たず凍えるばかりだ。

その状態のまま、数時間(最長4時間以上)マイナスの気温の中立ち尽くしているのだ。

拷問である。誇張なしに死者が出てもおかしくはない。

そんな中、生徒たちが受験会場に到着する。私達を見つける。「なんでいるの?」と喜んでくれる生徒もいるが、だいたいがクールな反応だ。「頑張ります」「いってラッシャイ」などの淡白なやり取りが多数を占める。

これで何が変わるのか?反応がクールであれ、ウォームであれ、受験会場に到着した時点で自分との戦いなわけだ。誰が自分の応援に来てくれたかは一切関係ない。

むしろ依存心の強めな受験生は心が緩んでしまうのではないか?私は前職時代ずーっとそんな疑問をいだいていた。

 

そんなこんなで私も前職を辞し、ほどなくしてコロナ禍に突入する。

古巣の塾では現在、入試応援を行っていない模様だ。このご時世しょうがないことなのかもしれないが、こうもすっぱりと入試応援制度が廃止される(古巣の塾は入試応援の際にその様子を写真に収めHPにアップしている。それが一切なくなった。写真撮ってる時間が生徒にとって全く無駄というか時間を奪う行為であることも疑問)。

見事な入試応援制度一斉廃止のウラに見え隠れするのは結局、みんな入試応援メンドイという思いではなかろうか。

非常に中途半端だ。突き詰めればみんなイヤイヤ入試応援に行っていたに過ぎないのだ。ボケが。生徒の心を惑わしてんじゃねー!

 

一度、私がある男子生徒を激励している場面がニュースで報道されたことがある。
高校入試や大学入試の日は校門前に報道各社のカメラクルーが集結し、各自ほしい画を撮らんとやっきになっている。

特に、大学入試に応援にくる塾関係者は当社しかなかったため、大学入試の日はだいたい受験生が校門を通過していく様子が映し出されるのみだ。

しかし、当社は違った。大学入試で唯一校門前に群がる奇特な塾だった。そんな中、一人の男子受験生が通りかかった。私が心配していた生徒だ。成績は、数値上はボーダーに達していたがその上昇スパンが急であったため実力なのかどうかがいまいち確信できなかった。俺の一言で一点でも変われば!!の一心で声をかけた。「よし!行って来い!!」生徒の肩をぽんとたたき送り出した。その様子が私の顔面とともにNHKニュースに流れた(受信料未納継続中)。非常にかっこよかった。

が、その時私は気づいていたのだ。あのカメラ、確実に俺のところに来るねと。それこそ確信していたのだ。

そう。

私はそのとき、役者バリに男前の声で生徒を送り出したのだ!!!

バリバリカメラを意識していたのだ!!!

私の役者デビュー作である。NHKでデビューさせてもらった(未納)。

 

その後、その男子生徒は見事大学合格した。私の応援など必要ないほどぶっちぎりの点数であった。

 

はい。入試応援必要ない。

 

以上です。